開咬


開咬という症状は、一部の歯が上下的に接触できない症状を持っています。一番よく見られるのは、奥歯は咬めるけれども前歯の部分が咬めない(閉じても前歯同士が当たらないという状態)という症状で、この状態を、前歯部開咬といいます。そのほかに、臼歯部開咬や側方開咬などいろいろ珍しい症状はありますが、通常”開咬”というと”前歯部開咬”のことをいいます。
奥歯だけに常に負担がかかり、前歯でかみ切るという機能が使えないので、咀嚼能力がかなり落ちており審美的問題点以上に、歯や顎、さらには全身の健康に悪影響を与えていることの方が問題です。
生まれつきに顎骨の変形が著しくて開咬になる場合もありますが、ほとんどの場合は歯列を取り囲んでいる、舌や口唇、ほっぺたの筋肉のバランスが悪くなっているために、幼児期から少しずつ顎の骨の変形や、歯の移動が起きて次第に形成された症状です。時間をかけて形成されたぶんなかなか頑固な症状です。
また歯の位置が矯正で修正されても、周りの筋肉のバランスが崩れたまま終了すると後戻りしやすく、矯正歯科医泣かせの症状です。
多くの場合、唇を閉じる筋肉の働きが弱いのに対して、舌を前方に必要以上に出す癖(舌突出癖)が見られ、舌に少しずつ押し出されるようにして上の前歯が外向きに傾斜し同時に上の方にもずれて配置しています。
舌突出癖は幼児性嚥下癖とも言われ、歯が生える前の赤ちゃんの母乳を飲み込むときの舌の動かし方が、そのまま成長しても残ってしまったものとも言われています。
長期間無意識のうちに続けてきた習慣なので、正しい動かし方を身につけるには計画的な訓練プログラムと根気が必要です。習癖さえ除去されれば、歯を動かすことはそれほど難しい治療ではありません。
問題の解決方法
■ ワイヤー矯正
筋機能訓練療法と平行して歯を動かす治療も進めていきます。多くの場合上顎前突を併発しているので、上顎前突の治療に準じた手順で進めていきます。
■ 筋機能訓練療法(MFT:Myo-functional therapy)
筋機能訓練療法という特別のプログラムを、矯正歯科医と筋機能訓練療法士(特別の訓練を受けた歯科衛生士)が協力して行います。地道な努力が患者さん側にも必要ですが、きわめて重要ですので避けられません。
開咬


開咬という症状は、一部の歯が上下的に接触できない症状を持っています。一番よく見られるのは、奥歯は咬めるけれども前歯の部分が咬めない(閉じても前歯同士が当たらないという状態)という症状で、この状態を、前歯部開咬といいます。そのほかに、臼歯部開咬や側方開咬などいろいろ珍しい症状はありますが、通常”開咬”というと”前歯部開咬”のことをいいます。
奥歯だけに常に負担がかかり、前歯でかみ切るという機能が使えないので、咀嚼能力がかなり落ちており審美的問題点以上に、歯や顎、さらには全身の健康に悪影響を与えていることの方が問題です。
生まれつきに顎骨の変形が著しくて開咬になる場合もありますが、ほとんどの場合は歯列を取り囲んでいる、舌や口唇、ほっぺたの筋肉のバランスが悪くなっているために、幼児期から少しずつ顎の骨の変形や、歯の移動が起きて次第に形成された症状です。時間をかけて形成されたぶんなかなか頑固な症状です。
また歯の位置が矯正で修正されても、周りの筋肉のバランスが崩れたまま終了すると後戻りしやすく、矯正歯科医泣かせの症状です。
多くの場合、唇を閉じる筋肉の働きが弱いのに対して、舌を前方に必要以上に出す癖(舌突出癖)が見られ、舌に少しずつ押し出されるようにして上の前歯が外向きに傾斜し同時に上の方にもずれて配置しています。
舌突出癖は幼児性嚥下癖とも言われ、歯が生える前の赤ちゃんの母乳を飲み込むときの舌の動かし方が、そのまま成長しても残ってしまったものとも言われています。
長期間無意識のうちに続けてきた習慣なので、正しい動かし方を身につけるには計画的な訓練プログラムと根気が必要です。習癖さえ除去されれば、歯を動かすことはそれほど難しい治療ではありません。
問題の解決方法
■ ワイヤー矯正
筋機能訓練療法と平行して歯を動かす治療も進めていきます。多くの場合上顎前突を併発しているので、上顎前突の治療に準じた手順で進めていきます。
■ 筋機能訓練療法
(MFT:Myo-functional therapy)
筋機能訓練療法という特別のプログラムを、矯正歯科医と筋機能訓練療法士(特別の訓練を受けた歯科衛生士)が協力して行います。地道な努力が患者さん側にも必要ですが、きわめて重要ですので避けられません。
治療例
患者様 | 30代 女性 |
---|---|
主訴 | 前歯が重ならない |
症状 | 開咬+軽度叢生 |
抜歯 | 上下左右第一小臼歯(4本)、親知らず |
装置 | マルチブラケット装置、パラタルアーチ、ヘッドギヤ |
治療期間 | 1年3ヶ月 |
「前歯が重ならない」という主訴で来院したケースです。診断の結果、「重症の開咬」と判明しました。
この方の場合は、マルチブラケット装置は、歯の位置づけを3次元的に正確に行うことの出来る最善の矯正方法です。したがって開咬の治療も、形の改善としては問題なく行うことが出来ます。
しかし、開咬が他の症状と少し違う点は、舌や唇の動かし方に問題があることから生じた症状なので、この問題を放置したまま形だけを作っても、時間が経つと簡単に後戻りしてしまうという問題です。つまり、マルチブラケット法で形態の矯正をするのと同時に、原因となっている筋肉の動きを正常に修正しなければなりません。この筋肉の動きを正常に修正する治療が、"筋機能訓練療法(Myo-functional therapy:略してMFT)"といわれるものです。
筋機能訓練療法は、筋機能訓練療法士という特別なトレーニングを積んだ歯科衛生士が行います。内容的には、いろいろなメニューがあり、簡単なものから始めて少しずつ筋肉の力を強めていき最終的には、無意識に起きる舌の突出をなくし、正しい摂食嚥下運動を獲得するまでトレーニングしていきます。この症例は、もちろん筋機能訓練にもしっかり取り組みました。
治療後は開咬が改善しただけでなく、出っ歯の症状もなくなり唇の審美性が大幅に改善しました。もちろん奥歯の噛み合わせも正しい状態が確立しています。











治療開始時(正面)

治療開始時(横)

5ヶ月経過

12ヶ月経過(正面)

12ヶ月経過(横)
《取材協力》 矯正歯科:洗足スクエア歯科医院(東京都目黒区洗足)
《解説》 小澤 浩之 先生(日本矯正歯科学会専門医)
《取材協力》
矯正歯科:洗足スクエア歯科医院
(東京都目黒区洗足)
《解説》
小澤 浩之 先生(日本矯正歯科学会専門医)